トラブルにならないための〜法律の相続対策
トラブルにならないための〜法律の相続対策
文書作成日:2016/05/20


 今回は相談事例を通じて、成年後見制度と相続手続きの注意点についてご紹介します。




 父が亡くなり、相続が発生しました。母は認知症を患っているため、娘の私が成年後見人に選任されています。相続手続きで注意する点はありますか。




 ご質問のケースでは母と子が相続人となります。子があなたお一人の場合、相続人は二人ですが、娘であるあなたの相続権と母の成年後見人であるあなたの立場の利害が対立(利益相反)するので、特別な手続きが必要になります。なお、成年後見監督人が選任されているかどうかで、手続きが異なります(民法860条)。




○成年後見監督人が選任されている場合
 あなたが成年後見人として遺産分割協議に参加します。その後、成年後見監督人に同意を得なければなりません(民法864条)。

○成年後見監督人が選任されていない場合
 母の特別代理人を選任して、相続手続きを進める必要があります。選任された特別代理人が、成年後見人に代わり遺産分割協議に参加します(民法826条)。
 (今回の相続について利害関係がある方は特別代理人になれません。)
※いずれの場合も原則として、成年被後見人の法定相続分の確保をしなければなりません。

 法定後見制度には後見人の他に、保佐と補助があります。相続人が判断能力(意思能力・事理を弁識する能力)を欠いている場合には、本人が自ら遺産分割協議を行うことはできないため、民法規定の成年後見制度を利用し、裁判所によって選任された成年後見人(又は代理権のある保佐人・補助人)が代わりに遺産分割協議に参加します。

(補足事項)
保佐人・補助人に同意権がある場合
 本人が相続の承認や契約等の行為を行う際に、保佐人・補助人は本人に不利益でないか検討して、問題がない場合は同意します。保佐人・補助人はこの同意がない本人の行為を取り消すことができます。また、補助人に代理権も同意権もない場合は、本人のみが判断します。



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