家と財産を守るための〜不動産の相続対策
家と財産を守るための〜不動産の相続対策
文書作成日:2018/02/20


 相続対策としての不動産投資の効果は適用される相続税率によって異なります。また、相続財産の評価額軽減だけでなく将来の現金化の判断も重要です。




 不動産投資を勧められています。不動産投資の相続税対策としての効果は理解していますが、投資額が高額であり、迷っています。何かアドバイスをお願いします。




 現在、三大都市圏や主要地方都市の不動産は、全体的に高値で売買されています。
 不動産投資において、収入が一定の場合(一般的に賃料等の収入は価格の様に激しく変動しません)、価格の上昇は、利回りの低下を意味します。よって、本来であれば、現時点での不動産投資はあまりお勧めできないということになります。
 ただし、相続税等の税対策が主目的となると、少し話は違ってきます。




 現在、都心部の不動産に投資した場合(立地や物件によって異なります)、その相続税評価額は、購入価格の半分以下になるものと推測されます。

 皮肉なことですが、利回りが下がる一方で、相続税対策としての効果は高くなっています。

 仮に、相続税の限界税率(注)50%の人が、都心部の不動産を1億円で購入し、その相続税評価額が4,000万円だとすると、想定のうえでは、相続税負担が最高で3,000万円軽減されることになります。

 実際に、相続税が3,000万円軽減されたとすれば、その後、8,000万円で売却したとしても、トータル的に考えれば、有益な不動産投資であったといえるかもしれません。しかし、限界税率30%の人の場合、有益な不動産投資であったとはいえないような気がします。

 現況下において、都心部の不動産の購入を検討する場合、不動産市況が反転(悪化)する可能性を見込み、売却時には譲渡損が生じる前提で判断されることをお勧めします。その考えに基づくと、不動産投資ができる人は、かなりの資産家に限定されてくると思います(相続税対策として不動産投資を検討する場合、長期所有する考えであっても、一定期間経過後の売却を想定した上で、判断されることをお勧めします)。

 なお、不動産活用(所有地に賃貸建物を建築)となると、話は更に違ってきます。不動産活用の場合、長期所有が前提になると思いますので、現状と活用後の比較検討による判断をお勧めします。

 しかし、賃貸建物竣工から一定期間経過後の売却を想定すると、その価格は建物建築費程度にしかならず、都心部の不動産投資を上回る損失が生じる場合が多いといえます。よって、不動産活用を行う前に、不測の事態が起こったとしても、金融資産や他の不動産売却等で、不動産活用にかかる借入金の返済が可能であることを確認して頂きたいと思います。なぜなら、不動産活用を行った物件を売却しても、その借入金が完済できるか否かという程度にしかならない可能性が高く、そうなると、現状のままの方が良かった(不動産活用は失敗だった)ということになってしまうからです。

 何れにしても、慎重な判断が求められますが、判断にあまり時間をかけ過ぎると、その間に市況等の環境が変化し、前提条件が変わってくる恐れがありますので、速やかな判断も求められます。


(注)限界税率とは、10%〜55%と8段階式に構成されている税率の中で実際に適用される一番高い税率を指し、相続税の速算表を用いる場合に使われる税率のこと。


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