やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2021/03/09
従業員へのテレワーク費用支給と現物給与の関係

[相談]

 当社では、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としてテレワークを推進しています。
 このテレワークに関する諸費用の負担について、当社のテレワーク勤務規程では次のとおり定められています。

  • テレワークに必要なパソコン等の情報通信機器は、会社が従業員に貸与する
  • 上記の情報通信機器の使用に伴って生じるインターネット回線接続費用等(通信費)は、会社が負担する
  • 通信費以外の費用については、従業員負担とする

 上記のうち、会社が負担することとなっている通信費について、所得税法上の現物給与として取り扱われる場合があると聞きましたが、それはどのような場合でしょうか。教えてください。


[回答]

 従業員に支給する通信費が、テレワークの有無にかかわらず一律で支給されるものであったり、テレワークに通常必要な費用を超える金額であったりする場合には、現物給与として所得税の課税対象となります。


[解説]

1.現物給与とは

 所得税法上、給与収入には金銭収入だけでなく、金銭以外の物・権利、その他経済的な利益も含めることと定められています。この金銭収入以外で給与収入に含まれるもの(経済的利益)のことを、一般に「現物給与」といいます。

 この現物給与については、原則として所得税が課税されますが、交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券など一定のものについては非課税とされています。

2.テレワークに伴って会社が負担する通信費の取扱い

 新型コロナウイルス感染症拡大防止のためテレワークを導入する企業が増えたことに伴い、国税庁は令和3年1月に「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を公表しました。

 その中で、在宅勤務費用を企業が負担した場合の取扱いについては、次のとおりとされています。

  • 在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要がないこと
  • 一方で、例えば企業が従業員に対して毎月5,000円を渡切りで支給するものなど、従業員が在宅勤務費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないものを支給した場合には、従業員に対する給与として課税する必要があること
  • インターネット接続に係る通信料について、基本使用料やデータ通信料などについては、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があること

 このため、今回のご相談の場合、御社が負担することとなっている通信費が、テレワークの有無にかかわらず一律で支給されるものであったり、テレワークに通常必要な費用を超える金額であったりする場合には、現物給与として所得税の課税対象となる可能性があります。

 なお、テレワークに通常必要な費用を求めるための計算方法として、国税庁は次の算式を公表しています。

業務のために使用した基本使用料や通信料等
= 従業員が負担した1ヶ月の基本使用料や通信料等×(その従業員の1ヶ月の在宅勤務日数/該当月の日数)× 1/2

 このように、テレワーク費用の支給にあたっては、毎月実費を詳細に計算したり、上記の算式を用いて計算したりする必要があるため、会社の事務処理負担の増加が予想されます。

 その負担の増加を避けるためにテレワーク費用を定額で支給すると、その支給額には所得税が課税されることになります。

 このため、テレワークの導入にあたっては、その費用を会社と従業員のどちらが負担するのかというルール決めを行うことと合わせ、その費用を会社が負担することとした場合の支給方法についても、事前にしっかりと検討しておくことが必要ではないかと思われます。


[参考]
所法9、28、36、所基通36-15、国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」(令和3年1月)など


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